個人事業との比較

当事務所には、起業をご検討されている方や法人なりをご検討されている方から
「会社を設立した方が良いのか? 個人事業の方が良いのか?」
「個人事業でなく、法人を設立するメリットは?」
「このまま個人事業主が良いのか? それとも法人成りした方が良いのか?」
といった内容のご質問を非常にたくさん頂きます。

法人には法人の、個人事業には個人事業のそれぞれメリット・デメリットがありますので、一概にどちらが良いと言うことは難しいです。

最初の手続きや費用だけを比べれば、個人事業の方が簡単にスタートできます。
個人事業の場合は、税務署に開業届けを提出するだけで事業を始めることができます。

一方、株式会社や合同会社を設立して事業を始めるには、費用と時間がかかります。

当事務所のような設立手続きを代行する専門家に依頼しないで、ご自身で手続きされても、法定費用(公証役場や国に払う登録免許税など)として

 *株式会社の場合は、最低約242,000円
  (定款認証費用:約92,000円、定款の枚数により異なります。)
  (設立登録免許税:最低150,000円、資本金額により異なります)
 *合同会社の場合は、最低約100,000円
  (定款に貼る収入印紙代:40,000円)
  (設立登録免許税:最低60,000円、資本金額により異なります)

が、必ず必要です。

また、手続きにかかる時間は、各々違いますが2~4週間はかかると思って下さい。

当事務所のような設立手続きを代行する専門家に依頼すれば、面倒な書類作成や手続きは、全て任せる事ができ、法人設立までの時間もかなり短縮できますが、上記の法定費用の他に報酬代(手続き代行費用)がかかります。

このように最初の費用や手間(時間)だけを考えると個人事業を選ぶ方が多そうですが、 ここ数年は、最初から株式会社や合同会社を設立して独立・起業される方が非常に増えています。

法人(特に株式会社)を設立される方が増えたのには、2006年5月の会社法施行によって、法人の設立要件が非常に緩くなった事が一因と思われます。

例えば、会社法施行前(2006年5月以前)に株式会社を設立するには、資本金1,000万円以上+最低役員4名(取締役3名、監査役1名)以上と厳しい設立要件でしたが、現在は資本金1円以上、役員1名(取締役1名)以上と簡単に設立できるようになっています。

合同会社は会社法施行によって設立できるようになった新しいスタイルの法人ですが、やはり資本金1円以上、役員1名以上で設立できます。

株式会社や合同会社などの法人が簡単に設立できるようになった事以外には、

◆税金問題
 *節税対策(法人の方が節税しやすい)

◆信用問題
 *個人事業だと取引先に限界がある
 *個人事業だと契約できないケースがある

が、多くの方が法人を選択される理由と言われています。

当事務所で過去に個人事業主から法人成りをお手伝いさせて頂いた多くの方が、法人成りした理由として、

 *節税対策(顧問先の税理士さんから法人化を薦められたなど)
 *対外的な必要性(取引先から法人化を要請されたなど)

などを挙げられています。

信用問題ですが、特に近年、不景気の影響もあってか、

 *「取引先から法人でないと今後、取引できないと言われた」
 *「営業先で法人でないと契約できないと言われた」

などをよく聞きます。

株式会社であれば債権者(契約者)を保護する法的な規定がありますが、個人事業にはそのような規定がありません。

債権者(契約者)からすれば、何の保証も無い個人事業よりは法人との契約を望むのは当然の事と言えます。

また近年インターネット等で販売をされる方も多いですが、消費者(買う側)からするとやはり会社の方が安心感を与えるのは事実です。
(よほど個人的に知名度等があれば別ですが)

ここでは、個人事業と法人のどちらでスタートするか迷っている方のために、以下のコンテンツをご用意させて頂きましたので、是非ご参考にして下さい。

個人事業と法人の比較
個人事業と法人の税金面の比較
個人事業と法人のメリット・デメリット
各法人の比較
自分に最適な起業のスタイルは?

個人事業と法人の比較

株式会社、合同会社と個人事業のそれぞれの特徴を比較しています。

  株式会社 合同会社 個人事業(青色申告)
組織形態 法人 法人 個人事業主
設立にかかる費用 法定費用で約25万 約10万円 不要
資本金 1円以上 1円以上 不要
最低構成員数 取締役1名以上 社員1名以上 自由
節税対策 経費に認められる
対象が広い
経費に認められる
対象が広い
経費に認められる
対象が狭い
信用度 高い 比較的高い 会社に比べると低い
責任 有限
(個人保証の場合は無限)
有限
(個人保証の場合は無限)
無限
(全ての責任を取る)
決算時期
(事業年度)
自由 自由 12月
(事業年度は1月~12月)
会計処理 複式簿記による会計 複式簿記による会計 白色申告は簡単。
税制上有利なのは、
青白申告
繰越欠損金 青色申告7年 青色申告7年 白色は無し。
青色の事業所得3年
業種の変更 定款の目的により
制限がある
定款の目的により
制限がある
自由にできる
融資 個人事業主より有利 個人事業主より有利 法人より不利
なケースが多い
社会保険 加入義務がある 加入義務がある 従業員のみ加入可能
事業承継 比較的簡単にできる 比較的簡単にできる 法人より難しい

個人事業と法人の税金面の比較

会社(資本金1000万円以下・従業員50人以下)と個人事業の
税金の種類と税率を比較してみました。

会社 個人事業
法人税
課税所得金額800万円以下・・・15%
800万円以上・・・25.5%
所得税
課税所得金額195万円以下・・・5%
195万円超~330万円以下・・・10%
330万円超~695万円以下・・・20%
695万円超~900万円以下・・・23%
900万円超~1,800万円以下・・・33%
1,800万円超・・・40%
法人事業税
課税所得金額400万円以下・・・3.4%
400万円~800万円以下・・・5.1%
800万円以上・・・6.7%
個人事業税
(事業所得-290万円)×3~5%(業種でちがう)
法人住民税(都道府県民税)
均等割・・・2万円
法人税割・・・5%

法人住民税(市区町村民税)
均等割・・・5万円
法人税割・・・12.3%
個人住民税(都道府県民税)
均等割・・・1,000円
所得割・・・一律4%

個人住民税(市区町村民税)
均等割・・・3,000円
所得割・・・一律6%
消費税
課税売上高が1000万円以上・・8%
消費税
課税売上高が1000万円以上・・8%
*法人住民税ですが、東京23区の場合は、均等割と法人税割を合わせた
 法人都民税(均等割7万円+17.3%)になります。
*税額等の詳細は、管轄の税務署や各自治体にご確認下さい。

個人事業と法人のメリット・デメリット

ここでは、一般的に言われている個人事業と法人のメリット・デメリットをご紹介いたしますので、ご参考にして下さい。

会社設立のメリット

*給与所得控除を利用できる(節税になる)
法人化すると給与所得控除という税制上の制度を利用でき、個人事業主に比べて税金を安くする事が可能です。
*所得の分散ができる(節税になる)
個人事業主に比べ所得の分散がやりやすくなり、節税に繋がります。
*資本金1000万円以下で会社を設立すれば2事業年度、消費税が免除になる(節税になる)
現行の消費税法では、資本金1000万円未満の新設法人は、設立1期目と2期目も消費税が免除になります。
個人事業主で既に消費税を支払っている方も、資本金1000万円未満で法人成りすれば、2事業年度は消費税が免除になるという事です。 
当事務所でも過去に、資本金999万9999円で株式会社を設立された方もいました。
*社会的信用がアップする。
大企業(特に上場企業など)は、個人事業主とは取引しないをいう会社が多いです。
今後、大企業との取引や営業活動をお考えの方は、会社設立をお勧めします。
*融資が受けやすくなる。
個人事業主の方でも融資を受けている方はたくさんいますが、会社の方が融資は受けやすい傾向にあります。
会社を設立する方が、お金や手間をかけて設立しますので、やはり事業に対する意欲や本気度(決して個人事業がそうではないと言っているのではありません)があると判断されるようです。
特に大手金融機関からのプロパー融資などはその傾向が強いです。
詳しくは、「融資の種類」をご参考にして下さい。
*助成金が受けやすくなる。
独立・起業時に助成金をご検討されている方も多いと思いますが、助成金によっては、法人しか対象にしない制度もあります。
*決算期を自由に決められる。
個人事業の場合は、毎年1月1日~12月31日の1年間が会計年度で、決算月は12月と決まっています。
法人は、ご自身の事業内容や取引先との関係などで事由に決算期を決められます。
*欠損金(赤字)の繰越控除期間が7年(個人事業は3年)
欠損金(赤字)の繰越控除とは、事業で出た赤字を翌年以降に繰り越す事ができるという制度です。
赤字がでた年の翌年以降に黒字になった場合、その黒字は繰越された赤字と相殺されます。
つまり課税所得が少なくなる(節税になる)という事です。
この繰越できる期間が個人事業は3年ですが、法人の場合は7年と有利になります。
*経費の認められる範囲が広くなる。
役員社宅にすれば家賃の大半を経費にできる
経営者の出張日当も経費にできるなど、個人事業に比べて経費に認められる範囲が広くなります。
*社会保険に加入できる。
社会保険(健康保険、厚生年金)に加入でき、個人事業主に比べて手厚い保障を受ける事が可能です。
*インターネットのショッピングモールに出店できる。
最近、この理由で法人化する方も増えてきました。
Yahooなどは個人事業では出店できません。
*従業員やアルバイトなどが個人事業主よりも雇用し易い
やはり社会保険などが充実している方が優秀な人物を集めやすいです。
*事業を承継しやすい
個人事業に比べて事業承継の手続きが楽です。

会社設立のデメリット

*設立時の費用がかかる
資本金、法定費用や専門家に依頼する報酬代などがかかります。
*法人住民税の負担がある
個人事業主は赤字なら税金はかかりませんが、法人は赤字でも年間最低7万円の法人住民税の均等割がかかります。
*交際費が全額、経費にならない
個人事業に比べて交際費の経費が認められにくいです。
*決算手続きが個人事業と比べて複雑になる
個人と会社のお金をきちんと区別して処理する必要があります。
*社会保険料などの負担が増える
役員報酬額や給料額に応じた保険料を負担しなければなりません。

個人事業のメリット

*簡単に始められる
税務署に開業届けを提出すれば始められます。
*事業内容の変更が手続き上は会社より簡単にできる
法人の場合は目的変更登記手続が必要になります。
*決算手続きが会社より簡単である
法人に比べると手続きが簡単です。
*事業をやめる時の手続きが会社より簡単である
法人の場合は、解散登記手続きに費用と時間がかなりかかります。

個人事業のデメリット

*利益がでるほど、税金が高くなる
所得税は、最大40%(法人税は22.5%)も税金がかかります。
*信用問題などで不利になる
法人で起業される方(ライバル)が増えているので、信用問題などで不利になる可能性がある。
*社会保険に加入できない
将来受給できる年金額が少ない。

各法人の比較

ここでは、法人設立をご検討されている方の為に、最近起業時に選択される事が多い、株式会社、合同会社、一般社団法人、LLP(有限責任事業組合)のそれぞれの特徴を比べてみました。

  株式会社 合同会社 一般社団法人 LLP
組織形態 法人 法人 法人 組合
資本金 1円以上 1円以上 不要 2円以上
定款認証費用 約92,000円 不要
(印紙代4万円は必要)
約53,000円 不要
設立登録免許税 最低15万円 最低6万円 6万円 6万円
設立者の呼称 株主 社員 社員 組合員
設立者の数 1名以上 1名以上 2名以上 2名以上
役員の呼称 取締役、監査役 業務執行社員 理事、監事 組合員
役員の数 1名以上 1名以上 1名以上 2名以上
役員任期 2~10年 無い 理事2年
監事2~4年
無い
代表者の呼称 代表取締役 代表社員 代表理事 組合員
最高機関 株主総会 全社員の同意 社員総会 総組合員の同意

◆株式会社設立にご興味のある方は、「株式会社設立スタンダードコース」をご参照下さい。

◆合同会社設立にご興味のある方は、「合同会社設立スタンダードコース」をご参照下さい。

◆一般社団法人について
2008年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(略称は一般社団・財団法人法)によって以前の社団法人と違い、株式会社のように公証役場での定款認証と主たる事務所管轄の法務局での登記を行えば「一般社団法人」が簡単に設立できるようになったのが、一般社団法人です。
一般社団法人にご興味のある方は、当事務所運営の別サイト「一般社団法人設立365.com」をご参照下さい。

◆LLP(有限責任事業組合)について
2005年8月に「有限責任事業組合契約に関する法律」が施行されて、有限責任事業組合(LLP)が設立できるようになりました。
LLPとは(Limited Liability Partnership:有限責任組合)の略称です。
合同会社(LLC)と似ていますが、LLP(有限責任事業組合)は法人ではありません。
あくまで「組合」という事業体です。
LLP(有限責任事業組合)の特徴としては

  • 構成員課税(パススルー課税)
  • 組合員が有限責任
  • 内部の機関や損益配分が柔軟に決められる

などがあります。

自分に最適な起業のスタイルは?

いろいろ起業時のスタイルが選択できるなかで、

◆個人事業主からスタートした方がいいのか?
◆法人を設立した方がメリットが多いか?
◆法人でスタートする場合、株式会社が良いのか、他の法人がよいのか?

をしっかりと見極めてスタートする事が大切です。

最後に、法人を設立した方がよいのか、個人事業主の方がよいのか迷われている方の為に簡単なチェック表をご用意させて頂きました。
 「そう思う(必要だ)」「思わない(必要無い)」のどちらかに○を付けて頂いて、「そう思う(必要だ)」の○の数が4つ以上あれば、法人設立をされる事をお勧めします。

  そう思う(必要だ) 思わない(必要無い)
節税対策もおこないたい    
企業との取引も行う(行う予定がある)    
同業他社に法人が多い    
融資や助成金を申請する可能性もある    
取引先の拡大や事業の拡大も考えている    
社会保険も必要だ    
インターネットでの商売も考えている    
将来、従業員やアルバイトを雇う可能性もある    

*このチェックシートはあくまで目安ですので、予めご了承の上ご活用下さい。

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